テクノロジー・もっと知る:コンジョイント分析

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コンジョイント分析

VETAの調査分析テクノロジーであるVE法は、コンジョイント分析という分析手法をべースに開発されました。様々なメリットが存在するため、幅広い分野の学術研究で、国際的に支持されています。
ここではVETAのテクノロジーの原点であるコンジョイント分析について、一歩踏み込んでご紹介します。

コンジョイント分析とはなにか?

VE法の原点:コンジョイント分析

コンジョイント分析は、人々の選好を統計的に推定する分析手法です。VETA CSOの山本らの研究も貢献し、選好を効果的に捉え、因果推論を可能にする手法として発展しました。
現在、社会科学を始めとする幅広い分野の学術研究で、国際的に支持されています。

コンジョイント分析とは?

コンジョイント分析とは、様々な「属性」がもつ「水準」の組み合わせに対して、人々がどのような選好を示すかを統計的に分析し、選好を推定するための手法です。

VETAのCSO・山本はコンジョイント分析の第一人者

VETAの取締役CSOである山本は、このコンジョイント分析を因果推論の考え方を取り入れた手法へと発展させました。なお、山本が執筆した論文は、これまでに累計17,000回以上引用されています。

なぜコンジョイント分析は選ばれるのか?

コンジョイント分析の特徴と強み

各要素やその組み合わせの独立な効果(因果効果)がわかる

実世界の選択は、いろいろな要素が互いに結びついています。そのため、ある要素が選択と相関していたとしても、それが本当の因果関係を示しているのかがわかりません。

例えば、実世界で、A国からの移民よりもB国からの移民のほうが好まれる傾向が見られたとします。しかしその傾向は、A国そのものに対するネガティブな選好のせいで生まれたとは限りません。例えば、A国からの移民の教育水準や語学能力が低い傾向にあることが関係しているかもしれないのです。

コンジョイント分析では、こうした要素を分解してランダムに組み合わせます。これにより、それぞれの要素単体や、要素と要素の特定の組み合わせが意思決定に与える独立な影響、すなわち因果効果を推定することが可能になります (Bansak et al., 2021)。

複数要因間の相対的な重要性を明確に評価

選択において好ましいと思われる要素の多くは、実世界ではトレード・オフの関係にあります。

例えば、賃貸物件の選択においては、交通の利便性が高い物件のほうが賃料も高くなるでしょう。このような相反する要素を含む複雑な選択を分析するうえで、一問一答形式や複数回答形式を用いた従来型の意識調査はあまり適していません。

コンジョイント分析では、要素間のトレード・オフを設問形式の一部として直接用いているため、回答者が相反する要素のうち一体どれをどのくらいの重みで考慮しているのかを推定することができます (Bansak et al., 2021)。

数多くの要因の同時検証が低コストで可能

複雑な選択に絡む数多くの要因についてそれぞれの独立な効果を測定したい場合、通常は一つ一つの要因についてA/Bテストなどのランダム化比較実験(RCT)を実施する必要があります。このような調査には当然多くのコストが掛かります。

コンジョイント分析を用いることで、効率的に多数の仮説を同時に検証することが可能となります。コンジョイント分析では、複数の属性を1つのプロファイルの中に組み込んだうえで、その間の仮想選択タスクをそれぞれの回答者に繰り返して回答させます。このようにして、1回の調査から複数の要因についての情報を一度にたくさん得ることができるのです。

現実の選択により近い設計のため信頼性が高い

調査分析では、回答内容と実世界での行動が必ずしも一致しないという問題点がよく指摘されます。

例えば、「ランチのお店に何料理を選びたいですか?」と質問しても、その回答は、実際のランチ選び場面での意思決定とは異なる判断に基づいているかもしれません。具体的には、その時の気分や直近に食べたものが回答にそのまま反映してしまうかもしれません。それに実際のランチ選びでは、料理のジャンル以外にも、価格や立地などのさまざまな要素を比較衡量して判断します。こうした調査の結果を市場調査に用いたとしても、期待するような成果を得られない恐れがあります。

コンジョイント分析をこれに用いるとしたら、料理のジャンル・価格帯・店の評判・雰囲気など複数の要素を組み合わせた仮想のレストランを提示しながら、「もしあなたがランチに行くとしたら、どちらのお店を選びますか?」と質問します。このようにしてコンジョイント分析の回答者は、仮想の選択を通じて、実世界での同様の状況を想像し、追体験しながら回答します。このような調査からは、実際の行動データとより整合的な結果が得られるということが、研究で証明されています(Bansak et al., 2021)。

回答回数を多くしてもデータの質が低くなりにくい

広く用いられている意識調査や適性診断には、100問以上の質問項目を含むものも珍しくありません。そのため、同じような形式のたくさんの質問に回答者が疲れてしまい、データの質が低下する可能性が問題点として指摘されてきました。

コンジョイント分析では、実世界の状況を模した仮想の選択という形式を取ることで、回答者はあまり飽きることなく回答を続けられます。まるでゲームのような感覚になったという回答者の感想もよく見られます。

実際に、コンジョイント分析でも同形式の設問への回答を繰り返し行うことが求められるにもかかわらず、繰り返し回数が重なってもデータとしての質はほとんど落ちることがないということが過去の研究で実証されています (Bansak et al., 2018)。

「社会的望ましさバイアス」や戦略的回答を抑制

従来の調査分析でしばしば問題になるのが、センシティブな内容に関する回答です。回答者は、意識的にせよ無意識的にせよ、自分の回答が他人から見てより望ましいものに映るように本音を曲げてしまう傾向があります。また、例えば就職活動における意識調査などでは、企業側から見て理想的な志望者に映るような回答を戦略的に行おうという意識も働きがちです。このような回答の偏りは「社会的望ましさバイアス」と呼ばれます。

コンジョイント分析は、社会的望ましさバイアスを抑制する手法として研究者の間で有力視されています。センシティブな項目を複数の要素のなかに紛れ込ませることで、回答者の意識の偏りをそらし、本音を引き出すことができるからです (Bansak et al., 2021)。

文献

Bansak, K., Hainmueller, J., Hopkins, D. J., & Yamamoto, T. (2018). The Number of Choice Tasks and Survey Satisficing in Conjoint Experiments. Political Analysis, 26(1), 112–119.



Bansak, K., Hainmueller, J., Hopkins, D. J., & Yamamoto, T. (2021). Conjoint Survey Experiments. In J. N. Druckman & D. P. Green (Eds.), Advances in Experimental Political Science (pp. 19–41). chapter 2, Cambridge: Cambridge University Press.

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