テクノロジー:もっと知る:VE法
もっと知る:VE法
VETA取締役の日野と山本は、社会科学で広く使われている手法であるコンジョイント分析をベースとして、新たにValue Elicitation法(VE法)という手法を開発しました。
ここではVETAの調査分析テクノロジーであるVE法について、詳しくご紹介します。

VE法とは・背景
コンジョイント分析からVE法へ
従来のコンジョイント分析は、調査後に分析を行わなければ、知見を得られません。
そこで生まれたVE法は、回答完了と同時に、知見をリアルタイムでフィードバックします。
VE法とは?
VE法は、近年社会科学で大きく発展したコンジョイント分析をベースとして回答者に対するフィードバックが可能なアルゴリズムを加えた手法です。VETA取締役の日野愛郎・山本鉄平(いずれも早稲田大学政治経済学術院教授)が開発し、早稲田大学の研究知見として特許出願中です。
コンジョイント分析からVE法へ
コンジョイント分析は「平均的な処置効果」を分析する手法です。調査後の事後分析によって、初めて知見を得ることができます。一方でVE法は、回答終了後すぐ、自身の回答に対するフィードバックを行うことができるアルゴリズムです。回答者にとっては、調査への回答と同時に知見を得ることができ、調査者もさらなるデータを得られます。
VE法とは・アルゴリズム
たっぷり解説! VE法のアルゴリズム

Value Elicitation法(VE法)は、コンジョイント分析をもとに、回答者自身へ結果を返すフィードバック型の調査アルゴリズムです。
従来のコンジョイント分析は、主に調査実施者がデータを集め、全体傾向を把握するために使われてきました。一方で、回答者本人には、自分の回答結果が見えにくいという課題がありました。VETA取締役の山本と日野は、ここに着目し、回答者の選択データから個人ごとの好みや価値観を計算し、「マッチ度」や「重視度」として返すVE法を発明しました。これにより、回答者は「自分が何を重視してるのか」「どの選択肢が自分に合うのか」を理解できます。企業や調査実施者にとっても、実際の意思決定に近い選択データを得やすくなります。
VE法は、商品選択、キャリア選択、保険、医療、教育、政策選好など、複数の要素が関わる意思決定支援にできます。以下では、そのアルゴリズムの考え方を解説します。


回答が集まると、VE法ではまず「素点」を計算します。素点とは、回答データから直接計算される、マッチ度や重視度になる前のスコアです。
考え方はシンプルです。回答者が選んだ仮想車に含まれていた特徴は、その人にとって好ましい可能性が高いと考えます。反対に、選ばなかった仮想車に含まれていた特徴は、相対的に好ましくなかった可能性があります。
そこで、選ばれた仮想車に含まれていた特徴にはプラスの点数を与え、選ばれなかった仮想車に含まれていた特徴にはマイナスの点数を与えます。
そのうえで、実際の候補が持っている特徴と照らし合わせ、それぞれが回答者の好みにどれくらい合っているかを計算します。
例えば、比較対象にある車の特徴。

だとします。
そして、表示された仮想的な車のペアの特徴と選択の結果が以下であったとします。

各ペアの選択で、選ばれた方と同じ特徴を持つ度に点数を加点し、選ばれない方と一致すれば減点、どちらとも一致しない場合には0点として計算します。例えば、1回目の選択で比べると、選択された「仮想A車」の特徴で「カローレ」のと一致するのが「定員」「燃費」「荷物量」「メーカー」なので、それぞれ加点をします。一方で選択されなかった「仮想B車」の特徴で「カローレ」のと一致するのは、「価格」「定員」「荷物量」なので、それぞれ減点します。このような操作をそれぞれのペアで行うと、以下のような素点のテーブルが出てくることがわかります。

この例において、素点は、点数を縦に合算した値がその車との相性を算出した「マッチ度」と、点数の絶対値を横に合算した値が各要素をどのくらい重視してるかわかる「重視度」の2つの素点になります。他にも様々な素点が考えられますが、いずれの場合も、これらの手続きによって回答データが素点に変換されます。

「マッチ度」の素点だけを見ると、カローレは+5点なので回答者に合っていそうだし、シピックは-4点なのであまり回答者に合ってないと考えられます。しかし、この点数をそのまま最終的な評価として使うことはできません。
なぜなら、回答者に提示された比較ペアは、膨大な候補の中のごく一部だからです。たまたまカローレに有利な特徴が多く含まれるペアが提示されていた可能性もあります。反対に、シピックに不利な組み合わせが多かった可能性もあります。
なぜなら、回答者に提示された比較ペアは、膨大な候補の中のごく一部だからです。たまたまカローレに有利な特徴が多く含まれるペアが提示されていた可能性もあります。反対に、シピックに不利な組み合わせが多かった可能性もあります。
つまり、素点には、回答者の本当の好みだけでなく、提示されたプロファイルの偶然の偏りも含まれている可能性があります。
そのためVE法では、素点をそのまま使うのではなく、特別なスコア換算をしていきます。

VE法では、回答者の選択データから得られた素点を、そのまま提示するのではなく、統計的に補正したうえで100点満点のスコアに変換します。具体的にはコンピュータ上で仮想的な回答を何度も生成し、「偶然でも出やすい点数の範囲」を基準として分布を作成します。そして、実際の回答者の素点がその分布の中でどの位置にあるのかを確認し、直感的に理解しやすいスコアとして出力します。これにより、単なる点数の大小ではなく、その選択肢が回答者の傾向とどの程度強く一致しているのかを、わかりやく示すことができます。


VE法の最終スコアは、回答者と候補との相性を直感的に理解するための指標です。マッチ度は「どの候補が合っているか」を示すのに対して、重視度は「なぜその候補が合っているのか」を理解するための手がかりになります。
たとえば、それぞれのマッチ度が、カローレ89点、シピック31点、ノード42点だった場合、カローレは回答者の選択傾向とかなりよく合っていると考えられます。一方で、シピックやノードは、カローレと比べると相性が低い可能性があります。
ただし、このスコアは「好きな割合」や「購入確率」を直接表すものではありません。あくまで、回答者の比較回答から見たときに、各候補がどれくらい回答者の価値観に近いかを示すものです。
